美濃桃山陶の聖地、久々利
何でもっと早くに来なかったかなぁ、自分。
可児市久々利にある荒川豊蔵資料館に行った際の感想です。というのも、とてもよかったのです。それはもう、これまで来なかった自分が悔しい感じ。
可児市久々利大萱は、荒川豊蔵氏が「志野筍絵陶片」を発見した地です。この発見により、これまで志野は瀬戸で作られていたという定説を覆しました。そして、この地で豊蔵自身も制作に携わりました。それが今、資料館となっていました。
美しい敷地内に点在する見どころ満載の施設
道の向かいにある駐車場に車を停め、道を渡って資料館敷地へ入りました。画像左には「無田洞窯」の石碑が。
この時、すでに資料館敷地が、想像していたものと違うので私の心は期待が高まり躍っていました。というのも、駐車場からすぐに続くコンクリートの建物を想像していたのです。
それが、どうでしょう。
実は、訪れた日は普段は非公開の作業小屋や豊蔵氏が使用した窯を特別公開していました。
これが、その作業小屋。キュレーターの方と言いますか、説明してくれる方がまた素晴らしかったです。丁寧で、親切な説明に話がスッと入ってきて、理解が深まりました。
作業小屋の中の様子。当時の様子がリアルに残されていました。
この作業小屋の正面に豊蔵氏が使用した大窯がありました。400年前の窯跡を参考に再現した窯で、昭和9年~56年まで年に1、2回の頻度で使用されていたそう。この窯で、氏の黄瀬戸、瀬戸黒、志野が生まれたのですね。
そしてまた、紅葉が素晴らしいのです。
作業小屋を下ったところにある資料館の展示も充実していました。時間をかけてじっくり読み、勉強になりました。
こちらは、陶房。
作業の様子が目に浮かぶようでした。
居宅も公開されていました。
山野草が生え、新緑や紅葉が見事な広い敷地内に、居宅、陶房、作業小屋と窯を持ち、制作に励んだ豊蔵氏。何ともうらやましい限りの環境です。
これまで、あちらこちらで荒川豊蔵氏の功績を見聞きしてきました。けれども実際に「志野筍絵陶片」発見の地であり、氏の活動拠点に足を踏み入れてみると、感動とともに知的興奮が自分の中にじぃんわりと浸み込むのが感じられました。
また、説明をしていただいたキュレーターの方や、情報満載の案内マップ等、資料館の丁寧さがよく伝わりました。季節をかえて是非、また来たいところです。
美濃桃山陶の聖地 荒川豊蔵資料
岐阜県可児市久々利柿下入会
※作業小屋と豊蔵の窯は、通常は非公開エリアです。
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